健康経営はなぜ必要?企業が健康経営を推進するメリットについて解説!

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昨今、健康経営を求められるようになりましたが、実際に健康経営に取り組むメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。本記事では企業が健康経営を推進するメリットについて解説していきます。

1.健康経営とは

経済産業省の定義によると「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法です。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。

 

健康経営はアメリカの経済心理学者、ロバート.H. ローゼンが1980年代後半に提唱した考え方です。「健康な人は生産性が高く、企業への貢献度も高い」「従業員の心身の健康障害は企業にとって損失である」という考え方に基づいた取り組みです。

 

1-1.健康経営はなぜ必要

健康経営は経営者と従業員が共同して健康経営を実践することにより、企業活動を円滑に進め、組織活性化、生産性の向上を目的としています。

 

社員の健康管理を社員本人だけに任せるのではなく、企業や組織として健康投資をおこなうことにより、社員の活力向上やパフォーマンスの向上をもたらし、組織全体の活性化が期待できます。その結果、企業や組織全体の生産性が向上し、業績もアップしていくと考えており、健康経営が重要視されています。

1-2.健康経営優良法人認定制度とは

健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取組や日本健康会議が進める健康増進の取組をもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。

 

健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。

 

健康経営優良法人認定制度では、大規模の企業等を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業等を対象とした「中小規模法人部門」の2つの部門により、それぞれ「健康経営優良法人」を認定しています。

 

「健康経営優良法人」に認定されると、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的な評価を受けられます。

また、「健康経営優良法人」ロゴマークの使用が可能となります。

 

参照:健康経営優良法人認定制度(METI/経済産業省)

2.健康経営に取り組む企業側のメリットとは

健康経営に取り組む企業側のメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

 

2-1.労働生産性の向上

従業員の心身における健康が増進されれば労働意欲が高まり、積極的に業務を行うことで生産性の向上につながります。心身ともに健康な従業員は仕事に対するモチベーションが高く、業務に対して積極的に取り組んでくれるためです。仕事が効率的に進むようになれば、さらに意欲がわきやすくなり、業務が円滑化するというプラスの循環が生まれるメリットがあります。

 

従業員の心と健康、労働意欲はどの企業にとっても大切な経営資源ではないでしょうか。

従業員が気持ちよくモチベーションが高い状態を保ちながら仕事をすることで、企業の生産性は必然的に高まります。

 

反対に、健康状態が悪いと従業員の生産性が低下します。頭痛や腰痛、眼精疲労、歯痛など身体への不調は、個人の生産性低下のみならず、職場全体の雰囲気が悪化し、人間関係がうまくいかなくなることも考えられます。このように、従業員の健康は業務や職場の雰囲気に大きな影響を与えます。

上記のことから労働生産性の向上は労働環境の改善にもなり、その結果、離職率にも影響します。

 

2-1-1.プレゼンティーズムとアブセンティーズムとは

体調不良に伴う労働生産性を考えるときなんらかの病気によって会社を休む状態のことを「アブセンティーズム」といいます。

一方で出勤はしているものの体調が優れず、生産性が低下している状態を「プレゼンティーズム」といいます。体調が優れない原因として、慢性疲労症候群、うつ病、腰痛・頭痛、花粉症をはじめとしたアレルギー症、生活習慣病等があります。

 

最近ではプレゼンティーズムによる労働損失への研究が進められており、企業には見えない労働損失(労働生産性の低下による経済的損失)が発生しており、その額は医療費や病気休業にかかる費用よりも大きいとされています。

出典:kenkokeiei-guidebook2804.pdf (meti.go.jp)

 

プレゼンティーズム対策としては職場環境の改善があります。職場が清潔でないと体調不良を引き起こす可能性があります。具体的な職場環境には、職場の温度、湿度は一定に保たれているか、照明の明るさは最適か、自然な姿勢を保てる椅子やデスクが用意されているか、リラックスして休めるスペースはあるかなどです。

ほとんどの従業員が、多くの時間を事務所内で過ごす場合には特に効果的であると考えられます。

 

また、休みやすい環境があるかということも重要です。体調不良でも無理をして出社をしなければならない雰囲気がある場合、体調不良も改善されません。個人差があるとは思いますが、仕事をするのが辛いというような状態であれば、周りを気にせず休めるよう社内の雰囲気づくりが必要です。

 

2-2.企業イメージの向上

健康経営に取り組むことで、企業イメージを向上することが可能です。「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」の認定を取得できれば、客観的な証明を得ることでより信頼度が高まり、さらなるイメージ向上につながります。従業員を大切にする企業には、ホワイト企業のイメージが定着しやすいためです。

※健康経営銘柄についてはこちらを参照してください:健康経営銘柄(METI/経済産業省)

 

また従業員の健康に寄り添うことで、従業員にとっては、「従業員を大切にしてくれる会社」であるというイメージが醸成され、従業員の定着率の向上にも影響します。

 

企業が従業員の心身における健康に対して、いかに取り組んでいるかに関心が高まる昨今、健康経営への取り組みは企業イメージ向上には、非常に有効な手段といえます。

 

2-3.リスクマネジメント

リスクマネジメントとはリスクを組織的に管理(マネジメント)し、損失等の回避又は低減を図るプロセスをいい、企業の価値を維持・増大していくために、企業が経営を行っていく上で障壁となるリスク及びそのリスクが及ぼす影響を正確に把握し、事前に対策を講じることで危機発生を回避するとともに、危機発生時の損失を極小化するための経営管理手法です。

職場における労働者の安全と健康の確保については、「労働安全衛生法」によって企業の義務とされています。健康に不安のある状態で勤務し続けると、重大な病気にかかったり、事故を引き起したりするというリスクがあります。また従業員が病気や怪我などにより働くことができなくなった場合には、代わりの人材を確保しなければなりません。

 

健康経営を実践することで、従業員の「欠勤」や「長期的な休業」などのリスクを減らすことができるほか、「体調不良による仕事中のミス」を減らすことにもつながっていきます。従業員に長く働いてもらうためには、従業員の健康づくりは欠かせません。従業員が安全で長く働くことができるよう、職場環境を整備する取り組みも健康経営の取り組みとして大切です。

 

2-4.労働災害の予防

労働安全衛生法第1条によると「労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制明確化及び自主的活動促進の措置を講ずる」と規定しております。

 

職場における労働災害は、通勤途中に発生した事故や災害によって負傷したり、転落事故、挟まれ事故、転倒事故等の原因は多種多様です。障害が残ったり、死亡ということも考えられます。

厚生労働省が発表した「令和4年労働災害発生状況」によると、労働災害による死亡者数は774人(前年比4人減)と過去最少となりましたが休業4日以上の死傷者数は132,355人(前年比1,769人増)と過去20年で最多となりました。

 

発生原因としては「転倒」事故が最も多く、次いで「墜落・転落」、「動作の反動・無理な動作」の順になっています。

厚生労働省「令和4年労働災害発生状況」においても、対策として

「リスクアセスメントと必要な改善措置を確実に講じた上で、機械等を安全に使用することの徹底を図る。」「ガイドラインのポイントをまとめた資料等を活用して、同ガイドラ

インに基づく取組の適切な実施を図る。」などをあげており、企業の育成や教育を充実させることにより改善や防止は可能ともいえます。

 

安全に対する意欲の欠如、健康を害することで発生してしまうような労働災害については、健康経営の視点から企業が実施する取り組みは有効と言えるでしょう。健康経営の取り組みは、労働災害防止にもつながっています。

 

 

参照:令和4年の労働災害発生状況を公表|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

3.健康経営の推進による従業員側のメリットとは

 

3-1.健康増進

従業員自身の健康が増進します。健康経営をきっかけとして、健康に対する意識が上がった従業員は仕事のやり方を工夫したり、残業を減らして趣味や家庭での時間を増やす人が少なくありません。

働き盛り世代の健康は職場での働き方や日常の生活習慣に影響を受けることから健康づくりに意識的に取り組むことは働き方や日常生活の見直しに直結します。

 

企業は従業員の生活習慣病を発症させないため、日頃から意識できる予防に関する情報を提供したり、健康診断の結果をもとに取り組みを実施します。また、企業によっては、生活習慣自体を整えるため、スポーツイベントや口腔衛生に関する指導が行われています。従業員はこうしたイベントに参加する機会ができることで自身の健康増進が可能です。

 

3-2.ワークライフバランスの実現

労働時間を適正化することで、今までは捻出できなかったプライベートな時間が活用できるようになります。「ワーク・ライフ・バランス」とは「仕事と生活の調和」という意味であり、余暇時間を家庭や個人の能力向上にあてることで、心身共に充実することが目的とされます。

従業員の健康状態が良好になれば、業務に集中することができたり、仕事の効率化を図るこことができます。仕事に対する自信やモチベーションアップにもつながります。

健康経営によるストレスが少ない職場環境は仕事に集中ができる環境を生むだけでなく、プライベート時間の充実にもつながります。心身の充実が達成されれば、仕事における生産性も向上していきます。仕事とプライベートは相反したものではなく、互いに好ましい影響を与え合うことができるのです。

 

4.健康経営を導入するためには

健康経営を導入するためのポイントはどのようなものがあるのでしょうか。

4-1.健康経営に取り組む目的や背景の整理

健康経営に取り組むことによって何を目指すのか、目的を明確にしておきましょう。取り組みの背景や目指すゴールが不明瞭だと、社内の体制づくりや取り組みに関しても支障をきたす可能性があります。健康経営に取り組むことで、どんなことを実現したいのかを整理することが必要です。

 

4-2.組織体制を整える

取り組みを主導し全体の活動の指揮をとる部署または担当者を決めましょう。中小規模法人の場合は経営者の関与が重要となってきます。経営者や担当者という社内のメンバーだけでなく産業医や保健師など、協力を仰げる外部専門家がいるかどうかの確認をしておくことも必要です。

 

また、取り組みを主として進めるメンバーに「健康経営アドバイザー」の資格を取得を促したり、「健康経営エキスパートアドバイザー」の資格を持つ人材を招聘したりすると、取り組みの質が向上します。

 

4-3.健康宣言を行う(中小規模法人部門)

健康経営優良法人の認定を取得するためには、加入している保険者が実施している健康経営宣言事業への参加が必要となっています。

4-4.健康課題を把握して、課題を明文化する

健康管理を効果的に取り組んでいくためにも、現状を把握して課題を明確化していきましょう。課題を明確化するためには、従業員の業務量や職場環境の分析や健康診断の結果などと合わせてヒアリングなどを行ない、課題を洗い出しましょう。

従業員に対して、基本的な取り組み内容や重要性を伝えることも必要です。健康経営は全従業員の健康を確保するための重要な要素であることを従業員に理解してもらいましょう。

 

また健康経営優良法人の申請を行ってみることも健康経営について知ることができます。

健康経営優良法人の申請書には企業の健康経営に求められる要素が書いてあります。

申請書を作成することで、自社で「達成できていること」と、「不足していること」が明確になります。健康経営優良法人の認定を受けることが目的となってはいけませんが、健康経営のヒントは申請書にあると思います。申請書を作成してみることで自社の課題認識と取り組みを検討していくことも一つの進め方ではないでしょうか。

 

5.健康経営の取り組み例

健康経営の取り組みとして以下のようなものがあります。いずれもサーラフィナンシャルサービスの取り組みの一例となりますが、多くの会社が取り組み内容を会社のHP等で公開しておりますので、他社の事例を参考にしてみるのもいいかもしれません。

 

◇健康づくり支援

・定期健診の診率が100%である

・事務所内に血圧計を設定しており、社員が毎日血圧を確認できる環境である

 

◇メンタルヘルス対策

・全事業所でのストレスチェック実施をしており実施率100%である

・産業医による面談ができる環境の整備をしている

 

◇働き方支援

・社員の状況に合わせて勤務時間・通勤方法の配慮等、仕事とプライベートの両立しやすい環境づくりに取り組んでいる

・インフルエンザ予防接種の費用補助を行っている

詳細はこちらをご確認ください。

 

6.まとめ

従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。

サーラフィナンシャルサービスはPURPOSEである「お客さま一人ひとりの悩みと夢に寄りそい、永く幸せに生きられる社会を実現する」ために、従業員とその家族が身体的、精神的、社会的に健康であることが大事であると考えています。健康施策を実施することにより、社員及び社員の家族が心身ともに健康であることを目指します。健康経営を通して実現したいことを考えてみることがはじめの一歩かもしれません。

 

*サーラフィナンシャルサービスは愛知県東三河・静岡県遠州エリアを中心として事業展開をする企業です。損害保険代理業/生命保険の募集に関する業務/住宅用設備機器・建材、家庭用生活用品等の割賦販売/リース事業/クレジットカード(サーラカード)事業運営を主な事業としております。

 

 

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