火災保険は年末調整で保険料控除の対象になるのか?

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保険には、年末調整や確定申告で保険料控除を受けられるものがあります。生命保険などの保険料は年末調整や確定申告をすることで、一定金額の所得控除を受けられますが、火災保険は対象になるのでしょうか。本記事では火災保険が年末調整や確定申告で所得控除の対象となるかについて解説します。

著・監修:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

1.火災保険と地震保険は保険料控除の対象になる?

火災保険は自然災害のリスクに備える基本部分とセットで加入できる地震保険部分に分かれています。保険料控除の対象であるかどうかについては基本部分と地震保険部分でそれぞれ異なります。

 

1-1.火災保険は保険料控除を受けられる?

火災保険の基本保険料は年末調整や確定申告で控除を受けることはできません。以前は「損害保険料控除」という制度があり、火災保険も年末調整や確定申告で手続きをすることで控除を受けられましたが、2006年の税制改正によって制度廃止が決まり、2007年1月以降、火災保険の基本保険料は保険料控除の対象から外れました。

 

1-2.地震保険は保険料控除を受けられる?

火災保険とセットで加入することができる地震保険は年末調整や確定申告で保険料控除を受けることができます。地震保険料控除の対象となるのは、2007年1月1日以降に居住用家屋と家財を保険の目的とする地震保険契約です。

地震保険は単独で加入することができないため火災保険とセットで契約をすることになりますが、地震保険料控除の対象となるのは、地震保険に該当する部分の保険料に限られます。

 

2.地震保険料控除を受けるには

地震保険料控除の対象は2007年1月1日以降に契約した地震保険です。対象となる物件は保険契約者ご自身、もしくは保険契約者と生計を共にする配偶者・その他の親族が所有していることが条件となります。そして常時住居として使用される建物であること、またはそれらに収容される家財を保険の対象とする地震保険契約が、地震保険料控除の対象となります。

2-1.年末調整の場合

年末調整で申告をする場合は、「給与所得者の保険料控除申告書」という書類にある「地震保険料控除」の欄に、加入している保険会社名や保険期間、保険料などを記入して「地震保険料控除証明書」と一緒に勤務先に提出します。国税庁の提出期限はその年最後に給与等の支払を受ける日の前日までとなっていますが、勤務先が設定しているケースが多いと思いますので、詳細は勤務先に確認ください。

参照:国税庁「給与所得者の保険料控除の申告について」

 

2-2.確定申告の場合

地震保険料控除を受ける場合には、確定申告書の地震保険料控除の欄に記入するほか、支払金額や控除を受けられることを証明する書類または、電磁的記録印刷書面を確定申告書に添付するか、または申告の際に提示をする必要があります。確定申告は主に個人事業主や副業等を行っている人が必要な手続きです。年末調整で地震保険料の控除ができた場合は、地震保険料控除のために確定申告をする必要はありません。

 

3.地震保険料の控除金額とは

その年1年間(1月1日~12月31日)保険料の金額に応じて、年間支払い保険料の合計が50,000円以下であれば、支払い金額の全額、50,000円を超える場合は一律50,000円が控除額となります。

出典:国税庁「新保険料控除」から引用

 

 

4.地震保険料控除を受ける際のよくある質問

4-1.保険料控除証明書の受け取り方法

控除証明書は、契約後に送付される保険証券に添付されていることが多いです。保険証券が届いたら、控除証明書が付いているかを確認して、年末調整または確定申告時まで保管をしてください。

複数年契約の2年目以降は、毎年10~11月頃に保険料控除証明書ハガキが発送されることが多いようです。保険会社により異なる場合がありますので、詳細はご加入の保険会社にお問い合わせください。

控除を受けるには、この証明書(ハガキ)を確定申告書に添付するか、申告書を提出する際に提示することが必要になります。

 

4-2.保険料控除証明書を紛失した場合

保険料控除証明書の再発行は、各保険会社にて行います。一般的にはWEBもしくはお電話にて手続きをすることが多いですが、いずれも再発行には一定の期日を要することがあるため、紛失した場合には早めにお手続きすることをおすすめします。

 

4-3.複数年契約の地震保険料を一括で支払うと控除は初年度のみになるのか

複数年契約の地震保険料を一括で支払った場合の保険料控除について、保険期間中は2年度目以降も控除の対象になります。一括で支払った場合は地震保険料を地震保険期間の年数で割り、その年に支払ったとみなして1年分の控除対象額が記載された控除証明書が発行されます。

 

4-4.12月始期の保険契約で保険料の支払いが年をまたいだ場合はどうなる

一般的にクレジットカード払、払込取扱票払、請求書払などの場合、初回保険料は、始期の翌月に支払いとなることが多いです。12月始期のご契約の場合、12月または翌年の1月に初回保険料を支払うことになります。地震保険料控除が受けられるのは、実際に保険料を支払った年の申告となるため注意が必要です。保険料の支払いタイミングについてはご加入の保険会社にご確認いただくことをおすすめします。

 

5.最後に

保険料控除とは、所得税や住民税を計算するときに、課税の公平性を図るために所得から差し引かれる金額のことです。つまり、払い込んだ保険料に応じて、所得税や住民税が軽減されます。保険料控除は地震保険だけでなく、一般生命保険、介護医療保険、個人年金保険などの生命保険料に対しても控除を受けることができます。いずれも年末調整または確定申告で手続きをする必要がありますので、忘れないようにしましょう。

 

 

著・監修:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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